城定秀夫「懺悔~松岡真知子の秘密~」、松浦ひろみは 姉の原紗央莉と暮らしている女教師だが、かって姉の彼氏を寝取った現場を原に見られ、原はそれで飛び降り自殺未遂となり歩けなくなってしまったことの負い目から、姉にいいように命じられて生活していた。ある時クラスでパシリをやっている男子生徒が松浦の音楽室に来てピアノを弾いていて、音大を受けたいからピアノを教えてくれと言う。それから松浦は生徒に教えるために、姉に嘘をついて遅く帰っていたが、ある時クラスの生徒にAVを借りているところを見られてしまう・・・・。城定秀夫の因縁のある姉妹を描いた作品。松浦は家に帰ると男を寝取られたのと足を悪くさせられた恨みで姉の原に命令され、学校でもあまり評価のよくない教師として追い詰められていて、AVを密かに借りて慰めるしかない状況なので、ピアノを教える自分に恋心があって近寄ってきた男子に告白されてたまらず自ら誘ってしまうシーンにそれまでの我慢と鬱憤が爆発したような勢いがあり、それがドラマ的な展開にうまく組み込まれていて説得力のある絡みのシーンになっている。原のイジメに近い命令はエスカレートし、松浦が買って来た服をズタズタに切り裂くだけでなく、テレクラ(まだあるのね)で知り合ったデブ男と無理矢理妹を会わせて、原の前でSEXさせるというところに至る。しかしここでギリギリまで追い詰められ行くのは松浦だけでなく、姉の原の方もであって、つまり姉妹の確執がどんどん頂点にまで上り詰めて両者が追い込まれ、モテなさそうなデブ男にすら呆れられて逃げられた後に、そこから姉妹の隠された愛情が露見していくことになる。この終盤の展開はまるでにっかつロマンポルノの傑作を思わせる秀逸さで、城定の見事な描写力とその独特の才気に唸るばかりである。そんな得難い傑作な一篇。